以前、老木の桜にウロがあるのでどうにか対処してほしいと言うお問い合わせをいただき、施術をしたお客様から

「今年、桜が咲きました!」

というお電話をいただきました。

奥様が大切にされている桜ということで、私も心配していたのですが、見に伺ったところ頑張って咲いてくれていて、とても嬉しくなりました。

街で見かける桜もとてもきれいですが、施術した桜が頑張ってくれているのを見ると、喜びもひとしおです!

(東京都中野区)

 

 

老木にウロがある・・・

実は、ウロのある木は珍しくありません。

そして樹木は、ウロがあるというだけでは枯れません。

しかし、生育環境をどう整えてあげるかで、その後の人生・・・樹生は変わります。

ウロをどうにかする、ということであるとコンクリートやモルタルを詰めることもかつては考えられていましたが、コンクリートやモルタルを穴に詰めてしまうと、詰めたものの裏側に結露が生じて、その水分を利用して、キノコがさらに多くなってしまうので、場合によりけりではありますが、基本的には樹木にコンクリートやモルタルを詰める方法はとらないほうが賢明です。

ウロがあるということは、本来あるべきもの、そこに詰まっているべきものが失われていると言うことです。

樹木の中に詰まっているものは、樹木の体を支えるものです。それが詰まっていることで樹木の強度が保たれるのですが、それがないということは、強度が著しく低下しているということになります。

ウロがあるからといって必ず樹木が枯れるというわけではありませんが、強度が低下しているということは、大風などで倒れる可能性が増すということで、倒木リスクの高い街路樹・庭木は、悲しいことに危険です。

森林・山林の中にある樹木なら倒木も悪いことではないのですが、人の近くにある樹木となると、そうはいかないですね・・・

ちなみに、森林の中で起きる倒木は、そのおかげで森林の中に光が入ることになり、日向にしか生育できない種類の植物が新しく育つことができるようになるので、倒木した樹木という個体にとっては「死」になりますが、森林にとっては「環境変化」になります。

 

でもやっぱり、大切な樹木にウロ・穴が空いていると、心配になりますよね。

 

樹木医・中村