植物にとって重要な器官のうちのひとつ、「根」
根は心臓部と言っても過言ではないです。けれども普段はほとんどそのすがたは見えないですね。
そんな植物の根の働きについてご紹介します。
根の働きとは?
それは、おおきく3つに分けられます。
①吸収作用(=人で言うところの食事、エネルギー摂取)
土壌中から植物の生活に必要な栄養や水分を吸収します。
根の吸収作用は水分吸収と、窒素・リン酸・カルシウム・カリウムなどの無機成分の吸収の2つに大きく分かれます。
②支持作用(=人体で言うところの骨・踏ん張り)
光合成によって物質生産の働きをしている葉やこれを支えている幹や枝などの地上部の器官全体を支える支持作用。
樹木は地上部分の重さがとても大きく、また体が大きいため風の抵抗を受けやすく、積雪など外からの影響も大きいので、根の支持作用も草などと比べてとても大きいです。
局地的な突風によって樹木が倒れたり傾いたりする等の被害を受けることもありますが、台風による被害が多いです。樹木の被害では幹折れよりも健康な根が十分発達していなかったためにに起きる根返りの被害が大きいと言われています。
日本は台風が多く、その際、倒木の被害報告は多いです。2018年10月の台風でも、根から傾いたり倒れたりする樹木の被害報告がたくさんありました。
③物質貯蔵作用(=人体で言う脂肪)
葉っぱで生産された炭水化物は脂肪やデンプンの形で幹や根に貯えられます。常緑樹では葉っぱにも貯蔵されます。この働きのことを物質貯蔵といいます。
こうして根に貯めたデンプンや脂肪を利用して植物は病気や突然の傷害に備えたり、新しい芽を出すためのエネルギーにします。
根の中のデンプンや脂肪など炭水化物の量は、季節によって変動します。
なので、伐採時期によって芽吹く確率も若干変化します。
とはいえ、芽吹く確率はそもそも樹木によって異なるので、絶対に芽吹かない(芽吹く)とは言い切れませんが。
それにしても、炭水化物、デンプンや脂肪なんて、人と同じですね。
ざっくりとした紹介になってしまいましたが、樹木にとっての根と言うものは、人の体に置き換えて考えてみても、生きる上で重要な器官であると言えます。
樹木を観察するときは、根についても観察してみてください。
個性があって面白いですよ。
樹木医・中村